時間精度の異なるモデルを混在させる

 富士通研究所と富士通は,携帯電話機のアプリケーション・プロセサのような大規模/高機能LSIのアーキテクチャ検討において,システム全体の性能の見積もりを容易にする技術を開発した。LSIの個々の回路ブロックの仕様,例えばスループットや帯域幅,バースト長,バス・バッファの深さといったパラメータの最適値を,LSI設計の初期段階において見極めやすくなる。米CoWare, Inc.のハード─ソフト協調設計ツール「Platform Architect」を基に,独自の拡張を施した。OSなども含めたシステム全体の性能を精度良く見積もることができる。富士通の携帯電話機に搭載する LSIの選定に役立てているもようだ。

 現在,LSI開発においては,ハード─ソフト協調設計ツールのようにLSIとソフトウエアを含めたシステム全体をシミュレーションする,いわゆる「ESL(electronic system level)ツール」が欠かせなくなっている。ASICを開発する多くの機器メーカーや,ファームウエアをLSIと一体で提供する半導体メーカーらが,5年ほど前からこぞってESLツールを導入し,LSIの開発期間短縮などに成果を上げてきた。今回の富士通研らの取り組みも,こうした方向性に沿ったものだ。

『日経エレクトロニクス』2009年6月1日号より一部掲載

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