国内大手半導体メーカーが生き残りを懸けた再編に動きだした。NECエレクトロニクスとルネサス テクノロジは経営統合に向けた協議を開始し,富士通マイクロエレクトロニクスはTSMCと組んでファブライト戦略を推進する。未曽有の不況に直面し,ようやく再編に向けて重い腰を上げた国内半導体各社。巻き返しに向け,最後の賭けに踏み出せるのか。

ようやくファブライトへ

 「最大のライバルは,心強い味方にもなる」─。NECエレクトロニクスの次期社長である山口純史氏(現・同社 取締役執行役員常務)は,ルネサステクノロジとの経営統合に自信を見せる。「確かに我々とルネサスの組み合わせでは固定費が重く,製品分野もぶつかる。しかし,今後両社が本気で固定費を削減し,重複する経営資源を新市場の開拓に回せば,必ず成功できる」と同氏は言う。

 国内大手半導体メーカーの再編に向けた動きが,にわかに活発化してきた。NECエレクトロニクスとルネサステクノロジは2009年4月27日に,経営統合に向けた協議を開始すると発表した。両社は世界のマイコン市場でそれぞれ2位と1位を占めており,統合すれば売上高で世界第3位の半導体メーカーとなる。

 一方,2009年1月に「国内半導体業界の再編を仕掛ける」と宣言したものの,今回の統合に加わらなかった東芝。同社は,NECエレクトロニクスらの統合発表の翌4月28日に,半導体組み立てなどを手掛ける仲谷マイクロデバイス,米Amkor Technology Inc.とともに,システムLSIの後工程で合弁事業を開始すると発表した。東芝がシステムLSIの後工程設備の一部を合弁会社に譲渡し,後工程の外部委託を加速する。システムLSI事業とディスクリート事業の分社化に関しては,引き続き,検討を進める。

 2日後の4月30日には,富士通マイクロエレクトロニクスが動いた。40nm世代の論理LSIの製造を台湾Taiwan Semiconductor Manufacturing Co., Ltd.(TSMC)に委託する。自社製造の比率を低くするファブライト戦略に方針転換することで,「まずは単独で半導体事業の立て直しを目指す」(富士通 代表取締役社長の野副州旦氏)と言う。

『日経エレクトロニクス』2009年6月1日号より一部掲載

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