唐突だが,今回は読者への質問から始めたい。
「あなたが今携わっている仕事,その商品はいくらで造り,いくらで売りますか。そして,いつまで販売し続け,いくらの売り上げ,いくらの利益を会社にもたらしますか」。
さて,この質問に,どれくらいの方がきちんと答えられるだろうか。筆者の経験からいえば,多分,ほとんどの方が答えられないのではないか。「あそこにある資料をひもとけば…」と,即答はできないものの資料の存在を的確に言える方がいたとしたら,それも天文学的に低い確率ではなかろうか。
我々は,商いにかかわる「重要な目標」を「ビジネスの目標」に置き換え,それに基づいて企業活動をしている。それにもかかわらず,冒頭の質問に答えられる方,あるいは資料の在りかを認識している方がほとんどいないとしたら,いささか心もとない。それで,本当に商いをしているといえるのか,と問いたくなってしまう。
と,まあ,初っぱなから厳しいことを書いたが,かくいう筆者も何度となく,あいまいなビジネスや,興味のあるところにばかり熱を入れたビジネスをするという失敗を繰り返した。しかし今振り返れば,これから語るビジネスプランを共有してからというもの,ようやく全社一丸となったものづくりが推進されるようになったと思う。それだけ,ビジネスプランは大事なのだ。
〔以下,日経ものづくり2009年6月号に掲載〕
VPM技術研究所 所長