アナリストの視点
JPモルガン証券 株式調査部長 中西孝樹氏
米『Institutional Investors』誌のアナリストランキングで自動車部門2004年~2009年6年連続第1位、および日経金融人気アナリストランキングの自動車・自動車部品部門で2004年~2009年6年連続第1位。

 今にして思うと、2008年12月は、世界経済にとって「運命の分かれ道」ともいえる劇的な瞬間だったのかもしれない。その命運を握っていたのは米国自動車産業であり、米GM社の救済劇が舞台の中央にあった。この危機でもしGM社が破綻していたら、世界経済は連鎖倒産と金融システム機能停止に追い込まれ、その風景は現在と大きく異なっていただろう。
 プライベートジェットに乗ってワシントンに借金を申し込みに来た米国自動車メーカー首脳に対し、米国議会と世論が強く怒り、自動車産業に対する政府資金援助が宙に浮いてしまった出来事は記憶に新しい。当時のジョージ・ブッシュ大統領は、不良資産救済プログラム(TARP)を原資につなぎ融資法案を瀬戸際で発動し、危機を回避した。ただし、わずか3カ月後に両社が実行可能な計画を立案し、承認を受ける条件付きで。

以下,『日経Automotive Technology』2009年7月号に掲載