自動車市場の低迷が続き、自動車部品メーカーの収益性も悪化している。再成長に向けて部品メーカーはどのような戦略を採るべきか。短期的な支出削減から、将来のための戦略見直しまで4回にわたってポイントを解説する。

 部品メーカーの収益性改善に向けては短期的な対応策と中長期的な戦略見直しの二つが求められる。短期的には収入を増やし、支出を減らすことでキャッシュフロー(現金収支)を改善することが必要だ(図)。
 入るキャッシュを増やすには、売り上げを増やす、売掛金を早期回収する、借入金を増やすといった方法があるが、どれも容易ではない。一方、出るキャッシュを減らすには、設備投資の選択と集中、原価低減、間接コストの削減、運転資金の縮小などがある。
 今回は、様々な対応策の中から、事業存続のためのキャッシュ確保と、将来の成長への布石という観点でも重要な設備投資の見直しに焦点を当てる。
 設備投資は減価償却費として長期にわたりコストの多くを占める。最近は急速な売り上げ拡大によって不足していた人的リソースを補うため増額されていた。これが売り上げ縮小時には大きなコスト負担となり利益縮小の原因となっている。このため、設備投資を最適化し支出を抑制する必要がある。

以下,『日経Automotive Technology』2009年7月号に掲載
図 部品メーカーの収益性改善手法
現状を乗り切るための短期的な対策と、将来の成長に向けた戦略の見直しの二つが求められる。第2回以降はここに示すテーマを取り上げる。(出典:A.T.カーニー)