トヨタ自動車は2009年3月、上級セダン「クラウンマジェスタ」を全面改 良した。ホイールベースの拡張による後席スペースの拡大と、最新の安全装備を採用したのが特徴である。先代のプラットフォームを流用しており、アッパーボディの開発は関東自動車工業が担当した。

 新型クラウンマジェスタは、今回の全面改良で、トヨタブランドの最上位モデルに位置付けを高めた(図)。従来は、旧「セルシオ」が最上位モデルであったため、クラウンとクラウンマジェスタの仕様は比較的近いものだった。例えば、先代のホイールベースの長さは両車で同じである。
 一方で、旧セルシオはレクサスブランドに移って価格はアップした。「旧セルシオの顧客の中には、レクサスの価格帯に手が届かない人もいる。このため、新型クラウンマジェスタは、旧セルシオの顧客層も取り込めるように上級志向を強めた」(トヨタ自動車製品企画主幹の服部達也氏)。
 具体的には、新型クラウンマジェスタはホイールベースを伸ばし、快適性も高め、ベース車のクラウンと明確に差異化した。また、クラウンよりも全幅をやや広げ、グリルやヘッドランプのデザインも大きく変えている。
 クラウンマジェスタの顧客の7割は法人用途。開発時には、後席の快適性の向上を最優先に置いた。先代(もしくは現行クラウン)と比べると、ホイールベースは75mm長い2925mmである。ホイールベースの延長分は、そのまま後席の前後スペースに割り当てている。「足を組み替えられるスペースを確保した」(服部氏)という。

以下,『日経Automotive Technology』2009年7月号に掲載
図 新型「クラウンマジェスタ」
トヨタブランドの最上位モデルとの位置付けだ。安全性や快適性を追求した。全長4995×全幅1810×全高1475mm、ホイールベース2925mm。