ビー・エム・ダブリューは2009年3月、最上級セダンの新型「7シリーズ」を発売した(図)。エンジンは、「740i/Li」が排気量が3.0Lの直列6気筒、「750i/Li」が4.4LのV型8気筒。先代はそれぞれ4.0L、4.8LのV8自然吸気エンジンだったから、ともに排気量を減らし、過給で補うことで出力を向上した。6気筒車は燃費も向上した。

 最高出力は740が225kWから240kWに、最大トルクは390N・mから450N・mに向上した。750は出力が270kWから300kWに、トルクが490N・mから600N・mに増した。大きく変わったのが最大トルクを出す回転数。740が3500rpmから1500rpmに、750が3400rpmから1750rpmに下がった。両エンジンとも直噴で、ターボチャージャは2個である。

ターボも触媒も左右バンクの間

 V8エンジンのヘッドは普通と逆に外側吸気、内側排気。ターボチャージャ、触媒、インタークーラなど過給に必要な多くの部品をすべてVバンクの谷間、またはその周辺に集めた。このため、ブロックの左右には空間ができた。7シリーズはエンジン重心が前車軸より後ろにある「フロントミッドシップ」で、エンジンの下側、左右には各アームなどの部品が密集している。しかも今回は前のサスペンションを、“遅ればせながら”ストラットからダブルウィッシュボーンとした。一般の外側ターボではレイアウトが成立しないという。

以下,『日経Automotive Technology』2009年7月号に掲載
図 ロングホイールベース版の「750Li」
ホイールベースは標準車より140mm長く、後輪は空気ばねで支持する。