出題と解説/ET教育フォーラム (坂井 直美)

<今号の問題から>
コンピュータ・システムの信頼性や品質の評価指標となるRASに関する記述のうち,誤っているものはどれか
  1. RASは,信頼性,可用性,保守性を表す。RASに保全性と安全性を加えたRASISを評価指標とする場合もある
  2. 信頼性を測る指標としてMTBFが用いられる。MTBFが長いほど,信頼性が高くなる
  3. 可用性を測る指標として稼働率が用いられる。稼働率は,MTBFをMTTRで割って求める
  4. 保守性を測る指標としてMTTRが用いられる。MTTRが短いほど,保守性が高くなる

 機器やコンピュータ・システムのユーザーは,必要な機能をいつでも利用できることを期待します。例えば機器の故障が頻発すると,その機器の販売中止や回収といった問題につながります。開発時に十分テストしても,故障や障害は起こり得るものです。そのため,あらかじめ故障や障害を考慮し,それに対処する機能を持たせる,いわゆる「信頼性設計」が重要になります。

信頼性の指標となるRAS

 JISでは,信頼性を「要求された機能を与えられた条件の下で与えられた期間実行する能力」と定義しています。つまり,問題が発生することなく長期間稼働するシステムを「信頼性が高い」と見なすのです。信頼性を,より具体的な数値で評価するための指標として用いられるのが「RAS」(一般的には「ラス」と発音する)です。RASは,信頼性(reliability),可用性(availability),保守性(serviceability)の頭文字を取った言葉です。これに保全性(integrity)と安全性(security)を加えた「RASIS」を評価指標とすることもあります。

『日経エレクトロニクス』2009年5月18日号より一部掲載

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