空港に降り立った飛行機に電力や冷暖房気,圧縮空気を供給する会社がある。「日本空港動力」改め「エージーピー」。エージーピーは,エアポート・グラウンド・パワーの頭文字を取ったもの。名は体を表すとの言葉通り,今も昔と変わらずに,飛行機にエネルギを供給し続けている会社である。

 独断で決めてしまうが,同社は多分,世界で最初にオール電化を標榜(ひょうぼう)した会社ではなかろうか。もちろん,最近ではほとんどの電力会社がオール電化をうたっているのは周知の通りだが,エージーピーの創業が1965年だから,歴史的に見てもその先駆けであることは間違いなさそうだ。

 この会社,ある意味では電力会社でもある。しかも,これも独断だが,世界一小さな電力会社かもしれない。それなのに,創業当時からの事業理念が今でいう「エコ」なのだから,大きな電力会社も顔負けだ。単に,飛行機にエネルギを供給するのではなく,駐機中に出る排ガスを減らすことを会社の理念とし,今に至るまでそれを実践しているのである。

〔以下,日経ものづくり2009年5月号に掲載〕

飛行場で見掛けるエネルギ供給の風景
これがエコ。

多喜義彦(たき・よしひこ)
システム・インテグレーション 代表取締役
1951年生まれ。1988年システム・インテグレーション設立,代表取締役に。現在,40数社の顧問,NPO日本知的財産戦略協議会理事長,宇宙航空研究開発機構知財アドバイザー,日本特許情報機構理事,金沢大学や九州工業大学の客員教授などを務める。