朝日金属工業は,IC向けリードフレーム,電子機器の端子やコンタクトコネクタ,ヒンジといった小物精密部品のプレス加工を手掛ける。精密金型と60t以下の小型プレス機による順送プレス加工で,金属薄板の打ち抜き/曲げ/つぶし/絞りなどを連続して行い,精密部品に仕上げる。1970年代初めから小物分野に特化してノウハウを積み上げ,エッチングや樹脂成形,切削加工からの代替需要を中心に業績を伸ばしてきた。

 代表的な加工品は,つぶしと打ち抜きを組み合わせたカム部品。これは,折り畳み式携帯電話機のヒンジ(ちょうつがい)ユニットに組み込んで使う。凹凸のある外径4~6mmのドーナツ状の部品で,材料には厚さ1.0mmのSK85(炭素工具鋼鋼材)板材を使う。45t/60tプレス機と順送プレス金型により,必要な部位を厚さ0.5mmにつぶし加工した後,内径と外径を打ち抜いて仕上げる。2002年に量産を開始し,現在でも同社の主要加工品の一つだ。

〔以下,日経ものづくり2009年5月号に掲載〕

携帯電話機のヒンジカム
つぶし加工と打ち抜き加工を組み合わせた順送プレスで造る。板をつぶすことで形状自由度を高められ,切削品や樹脂成形品の代替を狙える。