業績急降下が再編の引き金に

 「半導体は国家として必要な事業。いろいろな会社が協力して,今後も手掛けていく必要がある。他社との協業や再編を検討している」(日立製作所 執行役会長 兼 執行役社長の川村隆氏)。「半導体事業の提携相手としては,製品ラインで補完的な関係にあり,技術面でも互換性がある会社が望ましい」(NEC 取締役会長の佐々木元氏)。

 日本の半導体メーカーが最後のとりでと位置付けてきたシステムLSI業界に大再編の波が訪れようとしている。ルネサス テクノロジとNECエレクトロニクスは,事業統合に向けた協議を開始することを,2009年4月27日に発表した。両社とも,「具体的なことは決まっていない」とコメントしているが,水面下で,経営統合後の戦略を練り上げていることは間違いない。「ルネサスの今後の方向性に関する詳細な検討を,関係者一同が集まって進めている」(日立の川村氏)とする。国内半導体業界の再編としては,2009年1月末に,東芝が,システムLSI事業とディスクリート事業の分社化を検討する方針を打ち出したのに続く動きである。

赤字は「悪」と日立

 ルネサスとNECエレクトロニクスが象徴する国内半導体業界の再編の動きは,「もはや非中核事業でありながら巨額の赤字を計上する半導体事業を切り離したい本社側の意向が強い」(国内の業界関係者)点で共通する。

『日経エレクトロニクス』2009年5月4日号より一部 掲載

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