趙 章恩(チョウ・チャンウン)
ITジャーナリスト

LG社が環境家電に本腰

 金融危機に端を発した世界同時不況は,韓国の家電業界にも暗い影を落としている。調査会社GfK Marketing Services Korea Ltd.が韓国の販売店2100店を対象に調べたところ,2008年の家電製品の市場規模は13兆5290億ウォン(1ウォン=約0.075円)と,前年比で1.8%減少した。

 しかし,こんな逆風下でも気を吐いている製品分野が,韓国の家電業界にある。「環境家電」がそれである。環境家電といえば,日本では省エネルギーやリサイクルなどに対応した“環境に優しい”製品を指すのが一般的だ。しかし,韓国では少し違う。ユーザーの健康や身の回りの生活環境の改善に貢献する家電,という意味で使われることが多い。具体的には,空気清浄機,浄水器,イオン水生成器,軟水生成器,ビデ,生ゴミ処理器,アレルギー予防や除菌効果のあるエアコンなどを指す。

 韓国では年々,アレルギーやアトピー性皮膚炎,ぜんそく,鼻炎などに苦しむ患者の数が増えている。健康保険公団の発表によると,2007年にこれらの病気を持つ患者数は合計664万人で,2002年より20.9%も増加した。その背景には,モンゴルや中国から飛散してくる黄砂の被害などがあると指摘されている。こうした要因が,空気清浄機や空気洗浄効果のあるエアコンの売り上げを押し上げている。

『日経エレクトロニクス』2009年5月4日号より一部掲載

5月4日号を1部買う