2009年2月,コンサルタント会社のプログレス・パートナーズ(本社東京)は,オープンソースのPLMツール「Aras Innovator」(米Aras社)の日本国内での供給を始めた(図)。構成管理,部品表,プロジェクト管理など一通りの機能を備えながら,基本機能についてライセンス料は不要。機能拡張やバグ修正版などを随時受け取れる保守サービスと一部の追加モジュールは有償だが,大手PLMベンダーが販売するツールのライセンス料と保守料の合計から見ると,1/5~1/10の投資で済むという。

 不況で新規の投資が難しい中にあって,ソフト自体には費用の掛からないオープンソースあるいはフリーソフトは魅力的な存在だ。少なくとも,この時代にIT導入を継続する手段,あるいは事前評価や調査研究を実行する手段としては,有力な選択肢の一つといえよう。

*)フリーソフト,オープンソース ソフトを自由に利用,改変,再配布できるように利用者の権利を保証するライセンスに基づき配布されるソフト。ソースコードを自由に入手できることが必要とされる。改変したソフトも同じように利用者の権利を保証しなければならない(開発時に既存のソフトをどう流用したら「改変」になるのかは,微妙に意見が分かれている)。もともと「自由」を意味する「フリー」が単純に「無料」という意味に取られがちなため,ビジネス面でより好ましい用語として「オープンソース」が使われれるようになった。

〔以下,日経ものづくり2009年5月号に掲載〕

図●「オープンソースのPLMツール」として米Aras社が公開している「Aras Innovator」の画面
構成管理機能と部品表機能(a),プロジェクト管理機能(b)など,一通りの機能をそろえている。