産業人の立場から教育の現状を見ますと,小学生や中学生の理科離れというのは,本当に深刻な問題です。高校生が大学を受験する際も,理科系の科目を取らなくなった。なんと,高校で物理を全く学ばないで卒業する人が,もう半分以上に達しているそうです。
工学部の志望者はどんどん減っています。特に電気・電子,機械が弱くなっていて,定員割れの学科も多い。人気があるのは,遺伝子組み換えといった先端分野の生物系など,一部にすぎません。大学側も必死です。学生の人気や国の予算を取るためなのか,例えば金属工学科や造船工学科,化学工学科といった学科は“斜陽”だからと,どんどんなくしている。それで生物とかITとか環境とか,時代の花形的なところを追っかけていく。
それも必要なのですが,大学は産業の基幹人材を育てるところです。日本の製造業を維持するには,機械や電気・電子,金属・
〔以下,日経ものづくり2009年5月号に掲載〕(聞き手は本誌編集長 原田 衛)
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