省エネ法の改正をきっかけに,これまでも厳しいコスト削減の努力を続けてきたコンビニ各社が,店舗の消費電力のさらなる削減に向けて,新たな省エネ策を模索している。いまやコンビニは,最先端の省エネ技術のショーケースだ。ここで鍛えられた省エネ技術が,他の流通業やオフィス,やがては家庭へと広がるだろう。

LED照明の実験導入進む

 コンビニエンスストア(コンビニ)各社が,新たな消費電力の削減策の導入に今まで以上に力を入れている。最大手のセブン-イレブン・ジャパンは2008年 11月,看板やサインポールの照明をLED化した店舗を出店した。冷凍機の廃熱を利用する給湯設備と併せて,店舗当たりの消費電力を12.6%削減できるという。ローソンは,2008年10月に環境対策集約店として,広島県にLED照明や太陽光発電,外断熱材,空調・冷熱機器用室外機への雨水散水といった対策を施した呉広公園店をオープンした。

 高い経営効率を要求されるコンビニは,省電力技術の導入で小売り流通業の先頭を走っている。店舗の出店・閉鎖の回転も速いため,「3年で投資を回収できないと新たな設備の導入は厳しい」(コンビニの設備担当者)。省エネへの投資も例外ではなく,短期決戦となる。要求が高いからこそ,他業界や家庭も含めたこれからの省エネ技術の試金石となる。

LED照明の採用続々

 特に2008年から2009年にかけて,LED照明を試験導入するコンビニが目立つ。上述のローソン呉広公園店は,店内照明や看板にLED照明を採用しており,他の平均的な店舗に比べて照明の消費電力量を約34%削減できる。同社はこれまで全国の30店舗以上でLED照明の試験導入を進めてきた。2009年春以降に新規出店する全店舗で,看板や店内照明にLEDを採用する。業界でも初の試みだ。セブン-イレブン・ジャパンも,照明メーカーなどとLED照明の導入検討を積極的に進めているもようだ。看板に限れば,ファミリーマートは既に17店舗の看板にLEDを試験導入している。

 関心を示しているのは,大手ばかりではない。関東甲信越などを中心に店舗展開するセーブオンは,LED照明を採用した実験店舗を2009年2月に群馬県内に出店した。環境省の「省エネ照明デザインモデル事業」に採択されたもので,看板からショーケース,店内照明など照明のほとんどをLED化した。

『日経エレクトロニクス』2009年4月20日号より一部掲載

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