ハードだってオープンソース

 「ハードウエアは,ソフトウエアと違って簡単には変えられない」「ハードウエアを思い通りに修正するには,多大なコストが掛かる」 ─。10年後の2020年,その常識が変わっているかもしれない。個人でもハードウエアに手を入れられる技術が登場すれば,コンテンツの世界で「User Generated Content」,ソフトウエアの世界でオープンソース・ソフトウエアが登場したように,ハードウエアにおいてもユーザーが開発に参画する「User Generated Device(UGD)」が生まれる。UGDを実現する技術とは何か─。

第1部 <ハードが溶ける>
出力装置さえ安く速くなれば,ユーザーは作り始める

 ユーザーがある製品を欲しいと思ったとき,その思い描いたモノに近い製品の設計データをネットから探し出してダウンロードし,そのデータをデスクトップ上でまるで文書を印刷するかのように製品や部品として物理的に出力する。そんなユーザー参加型の開発スタイル「User Generated Device(UGD)」が実現しようとしている。

 一体,どんな条件が成立すると,エレクトロニクス機器というハードウエアにおいてもユーザー参加型のUGDが実現するのか。ハードウエアを,ソフトウエアやコンテンツと同様に個人が設計し組み立てられるようになるには何が必要なのか。

『日経エレクトロニクス』2009年4月6日号より一部掲載

第2部 <どこを変えるか>
筐体からLSIまで,ユーザーが手を入れる場所

 UGDの時代が到来するとして,ユーザーは,実際にはハードウエアのどの部分をどのように変更するのか。

 変更の粒度や方法により,いくつかのパターンに分類できる。要素部品の組み合わせによって変える方法,機器の筐体や内部の樹脂部品を変える方法,プリント基板を変える方法,LSIの内部を変える方法,などである。ハードウエアのそれぞれの領域ごとに,UGDの実現技術を見ていく。

『日経エレクトロニクス』2009年4月6日号より一部掲載

第3部 <技術者でなくとも>
新しいモノを生み出すカギは,簡単なツールにあり

 機能の部品化や技術の進歩によってユーザーでも機器を作れる環境が整えば,後はユーザーの熱意さえあればUGDはおのずと生まれてくる。最後にカギとなるのが,ユーザーが手軽に扱える平易な設計ツールの整備である。

『日経エレクトロニクス』2009年4月6日号より一部掲載