Edgelineを採用したMFPの内部

 「ウチの商品と販売現場で競合すらしない。2年前はどうなることかと思ったけど杞憂に終わった」(複写機系複合機のメーカーやディーラー)。

 プリンター/複合機(MFP)市場のガリバー,米Hewlett-Packard Co.(HP)が鳴り物入りで投入した,ライン型インクジェット技術「Edgeline」を採用したA3判対応MFPが苦戦している。ライン型インクジェットとは,用紙を覆う巨大な印字ヘッドを用いた印刷方式。現在オフィス用途で一般的なレーザ方式に比べて,原理的に簡素な部品でより高い印刷速度を実現できる。HP社はEdgeline関連技術の開発に14億米ドルを投じた。米Xerox Corp.やリコーなどが高いシェアを持つ,収益率が高いレーザ方式の複写機系MFP市場を,同社の中核技術であるインクジェットで切り崩すのが狙いだった。しかし,出荷台数は2年間累計で4000~5000台ほどにとどまっているようだ。HP社は,「開発,販売,サポートを継続する」としているものの,一部リストラを行っているとの報道も出ている。

『日経エレクトロニクス』2009年4月6日号より一部掲載