Cu配線,ひずみSi,SOI…。IBM社が道を付け,他社が追随した半導体技術は多い。これからの半導体技術はどうなるのか。IBM社で,マイクロエレクトロニクス事業を含むSystems & Technology GroupのCTOを務めるIBM FellowのMeyerson氏に聞いた。(聞き手は本誌副編集長 大石 基之)

(写真:栗原 克己 )

─「ムーアの法則」の限界が叫ばれて久しいですが,どこかで止まる,あるいは減速するのでしょうか。

 伝統的な手法によるCMOSの微細化は,2~3世代前に終わりました。CMOSスケーリングには,一つのレシピがありました。世代ごとに,トランジスタの各部分の寸法を一定の率で縮小するというものです。これは,とても単純なレシピでした。例えれば米を炊く際には,水を入れて30分ゆでるといったようなことです。

 レシピ通りに世代を進めると,同じ面積に2倍の数のトランジスタが入り,トランジスタの消費電力は1/2になります。これがうまくいっていたのは,2倍の数のトランジスタになっても,チップの消費電力は同じだったからです。  うまくいかなくなったのは,3世代ほど前,すなわち90nm世代からです。

 うまくいかなくなったのは,3世代ほど前,すなわち90nm世代からです。 ゲート酸化膜など,寸法を縮小しなければならない一部の層が,あまりにも薄くなってしまった。このため,ムーアの法則に従って寸法を小さくしても,消費電力は一定でなくなりました。

『日経エレクトロニクス』2009年4月6日号より一部掲載