「S-AWC」の開発 ヨーレート制御にかけた思い

三菱自動車の「ランサーエボリューションX」が採用した「S-AWC (Super-All Wheel Control)」。前後左右輪の駆動トルクを自在に制御し、「意のままのハンドリング」と「圧倒的なスタビリティ」を実現することを狙って開発した最新の4輪駆動システムだ。しかし開発の過程では、主要メンバー11人のうち7人が退社してしまうという試練に見舞われた。

 1980年にドイツAudi社が発売した2ドアクーペ「Quattro」は、4輪駆動車の世界に革命的な影響をもたらした。それまで悪路走破のための技術とみなされていた4輪駆動システムを、Audi社は舗装路を高速で安定して走るための機能として位置づけ、4輪駆動システムに新たな価値を与えたのである。