西村あさひ法律事務所 顧問 弁護士 東京大学 名誉教授
中山 信弘氏

 著作権を巡る国内の動きがかまびすしい。「ダビング10」や「私的録音録画補償金」など,機器メーカーに直接関係する制度の見直しが関連省庁の審議会などで議論されたのは記憶に新しい。2008年秋には政府の知的財産戦略本部が「日本版フェアユース」の導入構想をぶち上げた。だが,自由に著作物を利用したい消費者,作品を守りたい著作者,技術やサービスの開発者など,立場ごとに意見が分かれ,溝はなかなか埋まらない。知的財産法学の第一人者,中山信弘氏は「判例の積み重ねで黒白をつけるフェアユースの概念こそが産業振興にも役立つ」と話す。