交流電力を,周波数や振幅が異なる交流電力に変換する。既存のインバータとマトリックス・コンバータの機能はほぼ同じだが,回路構成は大きく異なる。それ故に,マトリックス・コンバータには特有の構成部品と周辺機能が必要だ。今回は,スイッチと転流,保護に焦点を当て,その詳細を解説する。(山下 勝己=本誌)

伊東 淳一
長岡技術科学大学 電気系 准教授

 前回は,マトリックス・コンバータを駆動する制御パルス信号の作成方法について説明した。作成方法は,既存のインバータに比べて複雑だが,それと同様に DSPやマイコンで制御できる注1)。つまり,既存のインバータの設計で培った経験や知見をマトリックス・コンバータの設計に生かせる。