第1部<総論>
画像処理技術の進化が
テレビを放送から解き放つ

 画素数が4000×2000級の「4K×2K」テレビ。現行テレビの4倍にもなる高精細テレビが,いよいよ家庭内に入る時が見えてきた。ただしテレビ放送の進化が,テレビの4K×2K化を推し進めるのではない。画像処理技術が牽引役になる。テレビの画素数は“放送されるコンテンツの範囲に収める”という常識が崩れることでテレビの役割は広がり,画面に映し出す情報の多様化も加速していくだろう。

第2部<超解像技術>
4K×2K対応は実現間近
高画質化・低コスト化も推進

 4K×2Kテレビ実現のカギを握る超解像技術。LSIの処理能力やコストなどの制約の中で,効率的な処理を実現する技術が求められる。今は,製品レベルではDVDの映像などをフルHDの映像に広げる際に使えるだけだが,4K×2Kへの拡大は技術的に確立されている。超解像処理を実行するLSIの低コスト化が進めば,テレビの標準機能への道が開ける。

第3部<4K×2Kパネル>
液晶パネルはレディー状態
Cu配線で高速駆動・低コスト化

 これまで薄型テレビのパネル技術を牽引してきた液晶パネル。画素の高精細化においても,いち早くフルHDに対応させてきた。4K×2Kへの進展も液晶パネルがリードしていきそうだ。既に業務用モニターでは生産が始まり,テレビへの展開で残された課題は実は少ない。ただし,液晶パネルが挑む残された課題は大きい。パネルの駆動が遅くなる,コストが高いという課題の解決に向け,技術を一新する必要がある。