【連載講座】軽く安くする材料・加工技術 第15回 5倍速いアーク溶接 酸素で対流を逆転させる

アーク溶接の主流であるTIG溶接。品質は高いが、スポット溶接に比べると原価は高い。大阪大学は、これを大幅に安くする方法を開発した。シールドガスにO2、CO2などをわずかに加えるだけで、溶接速度を従来の5倍にでき、結果として安くできる。

大阪大学接合科学研究所准教授
藤井英俊


 自動車で溶接をするときには、スポット溶接を使うことが多い。しかし、サスペンションアームとブッシュを入れるカラーとを隅肉溶接する、サブフレームを組み立てる、といった足回りの溶接や、パイプ状のドアインパクトビームとブラケットの溶接などにはアーク溶接、中でもTIG(タングステン・イナート・ガス)溶接を使う。足回り部品では溶接部の疲労強度が重要になるため、スポットでは不安があるためである。

【連載講座】軽く安くする材料・加工技術
温度と表面張力の関係
(a)一般には温度が上がると表面張力は下がる。(b)逆になる領域がある。