日産自動車/ABBの塗装ライン 2倍早く塗ればコスト、環境負荷半分 ズームレンズのようなノズルを開発

 日産自動車は塗装工場の面積を半分にでき、コストの大きな部分を占める空調エネルギを半分にする塗装技術を開発した(図)。環境負荷となるCO2とVOC(揮発性有機化合物)も半減できる。この技術について、スイスABB社が塗装機、塗装ロボットの開発を担当したことを明らかにした。

 自動車の生産に要するエネルギをCO2の排出量で比べると、塗装は鋳造に次いで多くのエネルギを使う。塗装の中ではブースの空調で加熱、冷却、加湿のエネルギが半分を占める。
 最近は環境問題に対応するため水性塗料への転換を進めており、水分を蒸発させる工程が増えているため、消費エネルギがどうしても多くなる。開発した技術は工場自体の規模を最小にすることにより、使うエネルギを大幅に削減し、それによりCO2排出量を削減するもの。またVOCに関しても塗料及び洗浄溶剤の廃棄量を最大50 %削減できる。

車体側面を一気に塗る
車体側面を一気に塗る
ABBのテクニカルセンター (静岡県島田市)で検証中。