【事故は語る】扇風機に続き冷蔵庫で劣化事故 長期使用を想定した設計が課題に

2007年夏,30年以上にわたって使用されていた扇風機(三洋電機製)が発火し,それによる火災で2人が死亡した事故は記憶に新しい。そして今度は,25年以上前の冷蔵庫(現・東芝ホームアプライアンス製)が発火し,火災事故を引き起こした。メーカー側の想定期間を超えて使われる製品の安全性をどのように確保するのか,製造業は今,新たな課題に直面している。

 2008年11月5日,経済産業省は東芝ホームアプライアンス(本社東京)製の冷蔵庫で発火事故が発生したことを公表,同社は消費者に対してこの冷蔵庫の使用を中止するように呼び掛けを始めた(図)。
 火災事故は,同年6月13日に福島県で発生した。製品の背面下部付近から発煙・発火していたという。幸いにも,死傷者はいなかった。
 原因は,コンプレッサを起動する際に動作するリレーの樹脂構造部が劣化して,絶縁性能が下がり,内部短絡するというものだ。具体的には,樹脂構造部に付いた汚れを通じて構造部の表面に電流が断続的に流れることで,その部分が炭化して導電路となり,最終的に絶縁破壊に至る「トラッキング現象」が起きたとみられる。(以下,「日経ものづくり」2008年12月号に掲載)

図●発煙・発火の恐れがある冷蔵庫
図●発煙・発火の恐れがある冷蔵庫
25年以上前に造られた東芝ホームアプライアンス製の冷蔵庫が対象となる。