【事故は語る】氾濫した試験データの捏造 JISマークの信頼が揺らぐ

品質の目安として長い間,日本の製造業で使われてきた「JIS(日本工業規格)」および,JISに適合していることを示す「JISマーク」。このJISマークの信頼性を揺るがす事件が起った。鋼管や銅管,工具鋼などを製造する複数のメーカーで,JISマーク表示の認証を受けているにもかかわらず,JISで規定された試験を実施していなかったことが明らかになったのだ。

 2008年5月から8月にかけて,「JISマーク表示制度」の認証(以下,JIS認証)を取り消される工場・事業所が相次いだ。JISで規定された試験を適切に実施していなかったことが,その理由だ。
 今回の処分を受けたメーカーは「品質問題は発生していない」と口をそろえる。 しかし,規格を満たしていることを偽った行為が蔓延すれば,規格そのものの信頼が失墜する。「JISマークが付いていれば,品質は安心できる」とは思えなくなってしまうからだ。この点で,決して許される行為ではない。(以下,「日経ものづくり」2008年11月号に掲載)