【特報】PLMが仕様標準化と 国際展開を推進

PLMに取り組んできた企業が最近,仕様標準化や共通化といった製品面での改革と,海外展開や拠点再編といった仕組みの面での改革を相次ぎ成功させている。PLMの目的のとらえ方が,変わってきた。『PLMコングレス』(2008年9月)における先進ユーザーの講演から,この変化を読み取ってみる。

 PLM(製品ライフサイクル管理)は,リードタイムを短縮したい,品質を向上したいという「業務的価値」だけを目指すだけでは,なかなか進展しない。「業務的価値と経営的価値の両方が必要」(オムロン事業プロセス革新本部・特別顧問の西阪啓一氏)。つまり,経営的価値につながる分かりやすい目的も必要になる。
 その一つの候補が,品質の確保やコストの削減を踏まえた仕様標準化。もう一つが,国際的な競争力を高めるための,海外を含めた拠点の再構築などの改革である。本誌主催のセミナー「PLMコングレス2008」では,講演した先進ユーザー企業6社中,いすゞ自動車と三菱重工業が製品仕様の標準化,パナソニック電工,東芝テック,オムロンが国際展開を前面に出し,いずれもITでどう支援しているかを解説した。またリコーは,製品仕様の標準化を踏まえた上で,IT化の進め方について講演した。(以下,「日経ものづくり」2008年11月号に掲載)

図●いすゞ自動車の「足し算設計」の考え方
図●いすゞ自動車の「足し算設計」の考え方
国内仕様を基にする(b)のではなく,ベースモジュールを別に定義することで, 「引き算」の必要がなくなり,管理が容易になる(a)。図は,いすゞ自動車CAE・システム推進部の石田陽一氏の講演を基に作成。