【解説】エンジンの排熱をとことん使う

クルマが走れば熱が出る。どんなに頑張っても熱効率は20~40%に過ぎない。残り60~80%は排熱だ。限られた石油資源だから、有効に活用したい。ところが活用するにも技術が要る。熱の需要がふんだんにあるわけではないし、活用しようと無理をすれば、装置が大げさになる。そうした状況の中でも、将来のエネルギ動向を見越し、開発が進んでいる。

 ハイブリッド車、直噴ガソリン車、ディーゼルターボ車―。エンジンの熱効率、またはハイブリッドシステムを含めた車両の効率は急速に高まってきた。しかし、それでも燃料が持つ熱量のうち動力になるのはせいぜい20~40 %程度。残りの60~80 %は周囲を暖め、地球を暖めている(図)。
 その熱を捨てることなく利用できれば、総合効率は上がる。車両の効率が上がり、ここからさらに上がる余地が少なくなった今、排熱の利用に注目が集まってきた。熱のまますぐ使う、熱のまま後から使う、電力に変換して使うなど、使い方は様々だ。

エンジンからの熱と軸仕事の流れ
エンジンからの熱と軸仕事の流れ
投入したエネルギのうち排ガスと冷却水でそれぞれ約30%が失われる(数字は三五による概算値)。