【連載講座】軽く安くする材料・加工技術

焼結+転造で
変速機用歯車を安く

変速機用歯車は強さを要求される工程数が多いため、高価な部品である。そのためニア・ネット・シェイプ化しようという動きがある。塑性加工する技術はこの連載講座で既に紹介した。ここでは焼結した歯車をさらに転造することで安くする技術を紹介する。

諏訪東京理科大学システム工学部
機械システムデザイン工学科教授
竹増 光家


 変速機用の歯車は、高い荷重にさらされる。このため歯の曲げ疲労強さと面圧疲労強さを同時に高くすることが必要だ。SCM415のような機械構造用合金鋼を使い、浸炭焼き入れなどの表面硬化処理をすることになる。結果、どうしても多くの加工工程を必要とし、高価な部品になってしまう。筆者らは低コストな焼結で変速機用歯車を造ることを試みた。いったん焼結した部品をさらに転造することで、強さと精度を大幅に向上できることを見いだした。

【連載講座】軽く安くする材料・加工技術
転造加工の様子