【ドキュメント工場 第3回】山本製作所/平準化への道、絡んだ糸

 ぼってりと太った雪がしんしんと降り積もり,辺り一面を真っ白に染めていた。2007年12月中旬の山形県東根市。山本製作所(本社山形県天童市)の東根工場は,そんな周囲の静けさとは裏腹に,人々のざわめきで埋め尽くされていた。
「ちょっと彼を貸してくれ。安達くん,教えてもらいたいことがあるで,ちょっとこっち来てくれるか?」
 生産現場のムダとりで知られるコンサルタントの山田日登志は,製造部加工Gの安達竜彦の背中を押し,スポット溶接ロボットの合間を抜けてぐんぐんと歩き出した。その後ろを,工場幹部やカイゼンメンバーたちが遅れまいと追い掛ける。(以下,「日経ものづくり」2008年6月号に掲載)