【特報】人材難時代の生産方式

多品種少量生産へのニーズの高まりから,「大量生産方式」に取って代わり,日本の生産現場に普及した「セル生産方式」。ところが近年,人材不足の深刻化から,そのデメリットがクローズアップされてきた。高度なスキルを持つ人材の育成に時間がかかるという点である。多品種生産したいのに,人材がいない。こんな時代の“救世主”ともなり得る第三の生産方式が,自動車用シートを生産するデルタ工業のそれだ。

 「近年は,高度なスキルを持つ人材を獲得するのが非常に難しくなってきた。当社がこの生産方式を開発したのは,その問題を解消するためでもある」(デルタ工業常務で製造本部長品質担当の川中勝利氏)。
 自動車用シートを開発・製造するデルタ工業(本社広島県・府中町)は,人材難の時代に威力を発揮する「第三の生産方式」を開発し,本社工場の一部の生産ラインに導入している。それは,言うなればセル生産方式と大量生産方式の“ハイブリッド”。セル生産方式は,生産数や品種数の増減に素早く対応できる「生産の柔軟性」に優れる。(以下,「日経ものづくり」2008年6月号に掲載)