【私が考えるものづくり】森 郁夫 富士重工業 代表取締役社長 弱みを補うより強みを伸ばす

 今そう言っても,誰も信じてくれないんですが,出身は技術系です。営業の担当が長かったので,みんな私のことを文科系だと思っていますが・・・。高校生のころからものづくりに興味があって,大学でも工場について研究しました。同期の半分は銀行に行きましたが,僕はやっぱり製造業がよかった。
 でも,私が富士重工業に入って配属されたのは,計数課というEDP(Electronic Data Processing)の部署。正直,ちょっとがっかりでした。「なんで計算機をやらないといけないんだ。だったら銀行へ行くぞ」と思ったりして。これを6年ほどやったころ,工場のラインを制御するプロセス・コンピュータ関 連のプロジェクトが発足し,手を挙げてそちらに移った。自分が組んだプログラムでコンベヤが動くわけです。もう感激ですよ。でも,車体の前部が右に行って,後部は左に行っちゃったり,失敗もしましたがね。(以下,「日経ものづくり」2008年6月号に掲載)