日経オートモーティブ Key Person


 トヨタ自動車の新型「クラウン」は、電子プラットフォーム(電子PF)の性能強化を特徴に挙げた。同社はこれまで、技術者向けの講演などでは電子PFの存在を明らかにしてきたが、カタログ上などでユーザーにアピールするのは初めて。電子PFの開発を指揮するBRシステム技術企画室主幹の岩田洋一氏に、現在の電子PFの構成や開発の方向性を聞いた。(聞き手は小川計介)

―電子PFの採用でクルマの開発はどう変わりますか。
 最近のクルマは、多くの電子装備を搭載しています。その基盤が電子PFに相当します。具体的には、ハーネスなどのケーブルやECU(電子制御ユニット)、電源、車載ネットワークなどです。これらの構成を標準仕様としたのが電子PFです。一つの電子PFを複数の車種で使うことで、電子システムの開発を効率化できます。

―ユーザーにとって電子PFを搭載するメリットは何でしょう。
 電子PFは、それ自体ユーザーに特定の機能を提供するものではありません。しかし、「レクサス」やクラウンのように多くの電子装備を備えようとすると、電子PFなしでは開発の手間がかかり、実現が難しかったと思います。新車開発時に、クルマ全体の電子装備を洗い出して戦略的に電子PFを設計してきたからこそ、新たな機能や付加価値を提示できたのです。