新技術が相次ぐ太陽電池の中で,有機材料を用いる太陽電池の進化が著しい。以前から,色が選べることや低コストが見込める点で注目されていた有機系太陽電池の量産がいよいよ始まった。最近は,効率や耐久性の点でも既存の太陽電池技術に迫りつつある。応用範囲の広さに注目したソニーなど家電やオフィス機器のメーカーも,開発競争にしのぎを削る。

 色素増感型太陽電池を代表とする有機系太陽電池の研究開発が,この数年非常に活発になっている。特許申請した企業は数百社と多く,日本での特許出願数だけで1600件超になる。理由の一つは,「低コストで高効率の太陽電池を開発できれば,その市場規模は爆発的に拡大する」(フジクラ 材料技術研究所長の田辺信夫氏)という思惑があるためだ。