【直言】大企業は社内に「ものづくり師範学校」を開設せよ

 先日,ある優良企業の開明的な経営者A氏とお話ししていて,ものづくり系技術者・技能者の雇用延長の話題になった。この会社でも,団塊世代の定年退職(2007年問題)に直面し,これはという人には雇用延長を打診してきた。ところが,「残ってほしいと思う人が,私はもういいですと会社を辞めちゃうんだ」とA氏。それはひょっとして,定年の皆さんに,(1)完全退職で週7日釣りして暮らすか,(2)雇用延長で元の部下の下で週5日使われ続けるか─の二者択一を迫るからではないですか,と筆者は申し上げた。(以下,「日経ものづくり」2008年5月号に掲載)

藤本 隆宏
ふじもと・たかひろ
1979 年 東京大学経済学部を卒業後,三菱総合研究所に入社。米Harvard University研究員,東京大学経済学部助教授,同教授などを経て2004年から現職。『ものづくり経営学─製造業を超える生産思想』(光文社)など著書多数。