【ドキュメント工場 第2回】山本製作所/平準化への道、ヘビににらまれたカエル

 2007年10月下旬。穀物の乾燥機などを製造する山本製作所(本社山形県天童市)東根工場の一角で,生産資材管理部長の大沼信彦は,一人の男と対峙していた。男の名は山田日登志。生産現場のムダを排除して,工場を立て直す「工場再建人」である。
「ただ,1点問題があります」
 それまで黙って山田の解説を聞いていた大沼は,居ても立ってもいられずこう切り出した。塗装ラインの平準化の指導がスタートして,約1時間が経過したころのことだ。
 「問題だと?」。山田の鋭い視線が突き刺さる。それを振り払うかのように,大沼は大声で続けた。 「先生は, 『月曜日はこの色とこの色』『火曜日はこの色とこの色』と,曜日ごとに部品を塗装する色を決めてしまえとおっしゃいました」
「おぅ。塗装工程でいつ何色を塗るか決めてまえば,管理ができるようになる。正常と異常が分かるからな」
「でも,曜日で,ラインに流れる製品の型式が変わるんです」
(以下,「日経ものづくり」2008年5月号に掲載)