【トヨタ流人づくり 第2回】常に森を見て木を育てる 市場変化に備える「先見の目」

「だから,部下が動く トヨタ流 人づくり」では,今,多くの日本メーカーの管理者が頭を悩ませている社員の人材育成に関して,トヨタ自動車の考え方や方法を伝授します。社員にやる気とモチベーションを与え,自ら動く組織をつくるための直接的,間接的なヒントが満載です。本コラムは中部産業連盟が開催するセミナー「トヨタ流モノづくりと人づくりの心・伝承塾」講座の講演内容を編集部が取材し編集したものです。

 管理者が職場を運営する上で,最も大切な視点とは何でしょうか。それは常に将来を予測し,考え得る手を先に打ったり,起こり得る事態に備えたりするということではないでしょうか。皆さんはこれを身に付けていると思いますが,ここで再確認していただきたいと思います。

「先見の管理」
 これからの企業経営には,常に「山を見て森を育てる」仕掛けが必要だと思います(図)。これはどういう意味かと言いますと,現在は日本国内のことを考えているだけでは通用しない時代になったということです。世界の情勢や世界の経済,世界の市場,これらグローバルの状況をつぶさに観察し,今,日本の経済や市場がどのような状況にあるかを把握する。さらに,その状況に対して自分の会社はどのような立場にあり,どのような動きをしているのかと,常にブレークダウンしながら観ていく必要があるのです。(以下,「日経ものづくり」2008年5月号に掲載)

図●「先見の管理」
図●「先見の管理」