【事故は語る】「ゆりかもめ」ハブ破断事故 調査報告書が示さない二つの真因

佐藤国仁
佐藤R&D代表取締役・日本技術士会
「技術士による製造物責任技術相談センター」会員

新橋駅と豊洲駅を結ぶ,ゆりかもめ東京臨海新交通臨海線。ここで2006年4月14日に事故が起きた。豊洲発新橋行き6両編成の1612列車が自動運転で途中駅の船の科学館駅を出発した直後に,車輪が走行路から脱輪したのである。幸い,230人の乗客に死傷者は出なかったものの,2日間にわたり運行停止。完全復旧したのは事故発生から5日後だった。事故調査に当たった国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は2008年2月末,この事故に関する事故調査報告書を公表した。本稿では,同報告書に基づいて事故原因と,あるべき再発防止策を考察する。(以下,「日経ものづくり」2008年5月号に掲載)

図●ハブボルト締結部の詳細
図●ハブボルト締結部の詳細