環境問題は地域から国,世界へ

第1部<提言>
部品も素材も消費者も
全員参加の削減作戦が始まる

 「2050年までにCO2排出量を半減する」との長期目標を達成するため,先進国を中心に環境規制が大幅に強化されるのは必至だ。地球温暖化問題が,優れた省エネ技術を持つ企業にとって追い風になる陰で,電子機器がCO2排出量を増やす悪玉と見なされるリスクも高まる。機器メーカー,サプライヤー,ユーザーのCO2排出量を「見える化」して,CO2の総排出量を減少に転じさせる必要がある。

温暖化,ここが知りたいQ&A

第2部<家庭の対策>
「気が付けば省エネ」
じわじわとユーザーを誘導する

 日本では,家庭のエネルギー消費量が増えている。特に電力は,1990年度に比べて53.7%の増加となった。主因は家電機器の高機能化による消費電力の増加と台数の増加だ。現状の取り組みのままでは,大幅なCO2削減は期待できない。家電機器単体での改善に限界がある中,システム全体で実現する省エネルギー策に注目が集まっている。複数の機器を組み合わせることで,個々の機器では見えなかったムダが見えてくる。最終的に目指すのは,火力発電など,CO2排出量の多いエネルギー供給体制からの脱却だ。