日経オートモーティブ Key Person
東レ 自動車材料戦略推進室長 胡谷一路氏

1970年東レ入社。1996年ナイロン樹脂事業部長の時に、自らの提案で自動車用途を専門に扱うエンジニアリングプラスチック第1事業部(現自動車材料事業部)を設立し部長となる。2001年自動車材料事業部長、2006年から現職。


 東レの自動車向け樹脂の売り上げは毎年二桁成長を遂げている。同社は事業計画の柱の一つに自動車分野を掲げ、グループ全体で2015年には自動車分野で3500億円と2006年の3倍程度の売上高を目指す。2008年6月には全社の技術に横串を通し、先行技術を開発するオートモーティブセンターもオープンさせる。 (聞き手は林 達彦)

―従来の自動車用材料開発における問題点は。
 典型的な開発プロセスでは用途を知らされないまま、こうした仕様の材料を作ってくれとスペックが提示されます。我々がスペックに合う材料をサンプル供給すると、ユーザーはその材料を評価して、「この辺をもう少し改良してほしい」という要望を返してきます。これを繰り返すうちに、すぐに1年くらいたってしまいます。結果的に、開発に時間がかかるという問題があるのです。

――オートモーティブセンターはそれを解消するのが目的ですか。
 その通りです。スペックではなくどんなことを実現したいかをユーザーから聞き、お互いに知恵を出し合って開発する場を作ることが目的です。当初は約25人程度の規模でスタートする予定です。開発には先行開発と量産開発の二つがあり、オートモーティブセンターは前者に対応する組織です。約5年先に実用化する技術を扱います。