ボクサーディーゼルの開発、ガソリンより小さいディーゼルを作れ

富士重工業が2008年3月から欧州で商品化した世界で初めての乗用車用水平対向ディーゼルエンジン「ボクサーディーゼル」。ガソリンエンジンと同じ幅に抑え、長さはむしろ短くした設計が特徴だ。ガソリンエンジンより爆発圧力の高いディーゼルは、ガソリンより大きくなるのが普通。常識を覆した設計はいかにして可能になったのか。

 2008年3月4日に開幕した第78回ジュネーブモーターショーで富士重工業は、同社としては初めての 自社開発ディーゼルエンジンを「レガシィ」に搭載して発表した。この新型エンジンは、ガソリンエンジンではすでにお馴染みの水平対向エンジンを、乗用車用ディーゼルに応用した世界で初めての例でもある。
 この世界初の乗用車用ボクサー(水平対向)ディーゼルエンジンの投入によって、富士重工業は、欧州市場で販売するレガシィの半数以上をディーゼルにしたいと意気込む。レガシィの欧州での販売台数は、2007年で年間約2万台だが、ディーゼルという商品力を武器に拡販を目論む。

ボクサーディーゼルの透視図
図●ボクサーディーゼルの透視図
世界で初めての水平対向ディーゼルエンジン。排気量2.0Lのガソリンエンジンに対して幅をほぼ同等に抑えながら、エンジン全長を61.3mm短縮したコンパクト設計が特徴。エンジン下側にDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルタ)とターボチャージャを配置する。