多様化する燃料電池車の水素貯蔵技術

耐久性や性能などで着実に進化する燃料電池車。しかしその実用化で大きな課題となっているのが水素の貯蔵技術だ。気体燃料であるため、かさばるという大きな難点がある。従来は高圧タンクに貯蔵するのが主流だった水素を、液体、固体状態でコンパクトに貯蔵する新しい提案が、最近になって相次いでいる。

 コスト削減や水素補給インフラの整備など多く課題を抱えながらも、燃料電池車は実用化に向けて着実に進化を続けている。トヨタ自動車は2007年9月28日、改良を加えた燃料電池システムを搭載する同社の燃料電池車「FCHV」が大阪-東京間の長距離走行試験を実施し、途中で水素を補充することなく完走したと発表した。
 燃料電池スタックの熱損失低減や、バッテリの充放電を制御するシステムの見直し、回生エネルギの増加などで約25%燃費を向上させるとともに、自社開発の70MPaという高圧水素タンクを搭載し、従来の35MPaタンクに比べて水素の貯蔵量を3.2kgから6.1kgに、ほぼ倍増させた。

水素貯蔵技術の分類
図●水素貯蔵技術の分類
現在は高圧水素タンクが主流だが、液体燃料では有機ハイドライドや水加ヒドラジン、固体ではMg系やAl系の水素吸蔵合金、さらに高圧タンクと水素吸蔵合金や、液体水素を組み合わせた「ハイブリッド型」など、新しい提案が相次いでいる。