【私が考えるものづくり】中鉢 良治ソニー 代表執行役 社長 世間から注目されて輝く

 ものづくり,言い換えますと技術の裏付けによって製品を造ることを明確に意識したのは,大学の時ですね。資源工学科で材料を研究していたので,当時の私にとって「もの」といえば100%,材料のことでした。世の中にない,新しい材料を造ってやろうと。
 具体的には,水熱合成で結晶を成長させる研究をしていたんです。オートクレーブという大きな圧力釜で,地下深くの鉱床を再現するわけです。釜の蓋を閉めて加熱すると,圧力がものすごく上がっていく。閉めるのが甘いと大変ですよ。爆発です。実験が終わって釜が冷えるまで待つんですが,蓋を開けるときは「何ができているだろう。こんな結晶かも」なんて,興奮しますよ,これは。(以下,「日経ものづくり」2008年4月号に掲載)