「半導体生産のリーダーは誰か」─。この単純な問いから,世界各国の半導体生産における競争力,ひいては日本の半導体産業の採るべき道が見えてくる。メモリ事業から相次ぎ撤退し,SoC事業へ舵を切った日本メーカーの選択は本当に正しかったのか。巨大な市場が広がるBRICsに対して,日本のエレクトロニクス・メーカーは備えができているのか。日立製作所でDRAM開発に携わった経験を持つ著者が,48日間の世界一周で体験した「日本の実態」を紹介しながら分析する。(木村 雅秀=本誌)

湯之上 隆
オムニ研究所 オムニTLO イノベーション推進本部 本部長

 「半導体生産能力」の視点から,世界の半導体メーカーの国際競争力を分析する。1995年に成長が停滞した世界半導体市場は,ITバブルの翌年である2001年から,新たな成長段階に入った。中でも急成長しているのが,BRICsの一角を成す中国やインドをはじめとするアジア地域である。では,この半導体を生産しているのは一体誰なのか。