【事故は語る】墜落炎上したF2支援戦闘機 誤配線で機首が急激に上下

2007年10月31日午前9時すぎ。愛知県の県営名古屋空港で,航空自衛隊第四航空団(宮城県東松島市)所属のF2支援戦闘機が滑走路を走り出した。数百m滑走し,機首を上げて離陸態勢に。その直後のことだった。機体はバランスを崩して墜落し,滑走路脇の芝生帯で炎上した。機長は肋骨を折るなどの重傷,副操縦士は打撲などの軽傷を負った。

 事故を起こしたF2支援戦闘機は,県営名古屋空港に隣接する製造元の三菱重工業小牧南工場(愛知県豊山町)で定期点検/修理を受けていた。県営名古屋空港事務所などによれば,同機はその日,午前9時ごろから離着陸を繰り返す「タッチ・アンド・ゴー」などの試験飛行を実施する予定だったという。  午前9時13分。空港周辺にドーンという爆音が響き渡った。工場を出た同機が,滑走路を助走し機体を宙に浮かしてからわずか数秒後に墜落したのだ。搭乗していた機長と副操縦士の二人がコックピットから飛び降りる。芝生帯に停止した同機からはオレンジ色の炎とともに,黒煙が上空高く立ち上っ た(図)。(以下,「日経ものづくり」2008年3月号に掲載)

図●炎上したF2支援戦闘機
図●炎上したF2支援戦闘機
写真:日本経済新聞社