【特報】町工場復活の軌跡

年間売上高10億円の町工場が約3億円の負債を抱え,経営の危機に直面していた。しかし,その工場はたった2年で黒字化を達成し,5年後には負債を完済した。いったい何があったのか。その復活を支えたのは,仕掛かりと作業者の手待ちを徹底的に削減するカイゼン活動だ。どの工場にもムダはある。札束は現場に落ちているのだ。

 福岡県との県境にある佐賀県上峰町の工場団地。大電産業(本社福岡県久留米市)はここに,電線を梱包する木製の巻き枠を造る工場を構える(図)。製品の大部分は,同社の親会社である大電向けで,残りはOEM(相手先ブランドによる生産)として出荷している。  工場の中に入ってまず驚くのは,作業スペースの小ささだ。建物内部の広さは80×60mだが,その約1/5のスペースで,全長12~13mの生産ラインが3本,こじんまりと稼働している。残りの4/5はがらんと空いた状態だ。(以下,「日経ものづくり」2008年3月号に掲載)

図●大電産業の上峰工場
図●大電産業の上峰工場