「アニメとかマンガ好きなの? じゃあ,この人を知ってますか?」「もちろん。とっても有名な声優さんですよね」──。

 雪の札幌。クリプトン・フューチャー・メディア(以下,クリプトン社)の入社面接に現れた若い女性に,同社 代表取締役の伊藤博之は手にした雑誌の写真を指さしながら聞いていた。喜々としてアニメやマンガの知識を披露する彼女を見て,伊藤はもう決めていた。欲しかった人材が目の前にいた。「最優先で採用しよう。開発チームに必要なのは彼女だ」。