【特報】生産現場の“からくり”でコスト削減

円高/ 株安の進行,一時1バレル100米ドルを超えた原油価格など,2008年に入って経済環境は不透明感を増してきた。戦後最長の景気拡大を謳おうか歌してきた製造業も,再び生産現場に厳しいコスト低減要求を突き付けてくるかもしれない。これまで乾いたぞうきんを絞るほどにコスト低減を積み重ねてきた生産現場。要求は厳しいが,まだその余地はあるはずだ。“からくり”の達人たちにアイデアを学ぼう。

 ちょっとしたトラブルで生産ラインの停止を余儀なくされるチョコ停は生産性,ひいてはコストの面から限りなく減らしたい。チョコ停の原因はさまざま考えられるが,センサやモータといった電子機器の不調もその一つである。
 こうした観点から注目されているのが,ワークの形状や動きを見極め,重力をはじめとした自然のエネルギを巧みに活用する“からくり”である。センサやモータなどを使う方法と比べて動作の安定性が増す上,製作コストや運用/維持コストを抑えられる。コスト低減にはうってつけの手段だ。(以下,「日経ものづくり」2008年2月号に掲載)

図●ラインと同期する工具ホルダ
図●ラインと同期する工具ホルダ
工具ホルダはアームの先端に取り付けてあり,アームの逆側には重りを配置。アームはキャリアに軸で固定し,ほぼ水平面で回転する。キャリアは,斜度を付けたレールの上に取り付けてあり,ワイヤを経由して重りとつながっている。