「PAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維の価値観や使い方を変える可能性がある」と,三菱レイヨンAN技術統括室CFグループリーダー部長の今井義隆氏が自信をのぞかせるのは,同社が2008年にサンプルを投入する予定の新しいPAN系炭素繊維「P330」シリーズだ(図)。特徴は繊維の束を増やしながらも,これまで難しかった高い強度/剛性,高い品位(均質性など)を確保した点にある。自動車や船舶,風力発電翼といった大型構造物のCFRP(炭素繊維強化プラスチック)部品に適用すれば,従来のPAN系炭素繊維と比べて大幅な生産性の向上,コストの低減が見込める。(以下,「日経ものづくり」2008年2月号に掲載)
図●新しいPA N 系炭素繊維「P 3 3 0」シリーズ(左)
太さは60kで,右の12kと比べてかなり太い。ラージトウながら,スモールトウと同等以上の高強度/高品位を実現した。三菱レイヨンは, 「使いこなしの技術,すなわちソフトと一緒に販売していきたい」としている。