日経オートモーティブ 連載

軽く安くする材料・加工技術・第9回

変速機用歯車を
切削せずに造る

 樹脂歯車をはじめ、ネットシェイプ歯車は広く使われている。しかし、自動車の変速機のように大きな力を伝えるものは一般に切削して造るしかなかった。そこにネットシェイプの歯車が現れた。必要に応じて端面切削、内径ホーニングなどはするが、歯面そのものは後加工なしだ。

クリアテック社長
石田均


 冷間鍛造は、切削と違って切粉を出さない。歩留まりがよく、さまざまな量産品のコストの削減に貢献してきた。しかし、長い間冷間鍛造は、熱間鍛造と違って加工の自由度が低く、さらに切削加工と違って精度の高い製品の製造には使われなかった。一般には、精度や表面性状で、冷間鍛造が切削加工を超えるのは不可能とされてきたのである。

日経オートモーティブ 連載
図●鍛造ヘリカルギアの製品群
基本的には後加工なし、つまり黒皮つきだが、内径はホーニングすることが多い。また、左上のワークは客先の要求により、端面の一部を切削している。